ジャック・ニコルソンの狂気じみたメインビジュアルでお馴染みの名作ホラー「シャイニング」(80)。ここでは、そのあらすじや解説、オリジナルレビューを紹介します。
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あらすじ
作家志望のジャックは妻のウェンディーと息子のダニーを連れて、冬の5ヶ月間だけ閉鎖される山中のホテルに住み込み、管理人を務めることに。閉ざされたそのホテルは、かつて管理人のグレーディーという男が気を病み、妻と2人の娘を惨殺した末に自身も命を絶ったといういわくつきの場所でした。
初日、ホテルを案内され気に入った様子のウェンディーたち。そこでダニーは、黒人のコック・ハロランから超能力があることを見破られます。それは“シャイニング”と呼ばれ、未来を予測したり過去を感じ取ったりできる力でした。トニーというイマジナリーフレンドに口止めされているダニーは多くを語りませんが、同じ力を持つハロランは237号室に近づかないよう警告します。
1ヶ月後、雪がひどくなり一家は完全孤立状態にいました。三輪車で建物内を走り回って遊ぶダニーでしたが、ある日、廊下の奥に双子の女の子を見かけます。それは惨殺された双子の霊だったことを知り、恐れおののきます。一方ジャックは新作を書き上げたい一心でイライラが募り、ウェンディーとダニーを殺す悪夢に悩まされるまでに。そしてついに、ダニーの首にできた傷を巡ってウェンディーと口論になってしまいました。
自分のせいにされて腹を立てたジャックはロイドというバーテンダーに遭遇。なぜか昔から知っていたかのような会話を繰り広げていると、慌てたウェンディーがやって来て、ダニーの傷は237号室の女によるものだったと告げます。様子を見に行ったジャックは風呂場で裸体の美女に遭遇しますが、鏡に映ったその姿は腐乱した老婆の死体でした。
その頃、ダニーの身を案じたハロランは一家の安否を確かめるように手配します。しかし、ジャックはすでに幻を見ているようで…。人で溢れかえったバーでグレーディーという男に出会っていたのです。「かつてここの管理人をしていたか」と聞くと、「あんたこそずっと前から管理人だ」と返すグレーディーに違和感を覚えつつも、息子と妻の“しつけ”をする必要があると言われ受け入れます。一方、ウェンディーは夫が書いていたはずの小説が全て「仕事ばかりで遊ばないジャックは今に気が狂う」という文の羅列になっていることに気づき、息を飲んでいました。そんな彼女の元に狂気に満ちたジャックが迫ってきて、ついにバットでジャックを殴り倉庫に閉じ込めてしまうのです。
その夜、今度はダニーが「REDRUM(レッドラム)」と謎の言葉を繰り返し、異変を感じたウェンディー。それはトニーの声にも聞こえ、鏡ごしに見た扉には「MURDER(=殺人)」という文字が書かれていました。その直後、斧を持ったジャックが2人を襲います。ウェンディーはなんとかダニーだけ外に逃すと、ハロランが到着した音が聞こえました。しかし、助けに来たハロランはすぐさまジャックに殺されてしまいます。死体を見てそう悟ったウェンディーはダニーを探し回りますが、いるはずのなかった人々の姿を次々目撃し…。一方、ダニーは庭の巨大迷路でジャックを巻くことに成功。無事ウェンディーと落ち合って逃げることができました。
雪の中で凍死したジャック。しかし、ホテルには管理人と見られるジャックが中心に写る1枚の写真が飾ってあります。それは1921年の舞踏会の様子だったのです――。
目次
Melody of Movieの評価
85点
■各レビューサイト参考
映画.com:3.6
Yahoo!映画:3.91
Filmarks:3.7
みんなのシネマレビュー:3.69
※みんなのシネマレビューは10段階→5段階評価に換算しています
スタッフ・キャストについて
監督は、巨匠として名高いスタンリー・キューブリック。写真雑誌「LOOK」誌にカメラマンとして在籍した後に映画業界に転身した彼は、「恐怖と欲望」(53)で長編デビューを果たすと、「スパルタカス」(60)や、SF三部作と言われる「博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか」(64)、「2001年宇宙の旅」(68)、「時計じかけのオレンジ」(71)など数々の名作を手がけ、99年に急死するまで16本の作品に携わってきました。中でも本作は「映画史上最も怖いホラーを撮りたい」と、「エクソシスト」(73)の続編を断って監督した作品なのだとか。大ヒットを記録しましたが、原作から大きく設定を変えていることで原作者のスティーヴン・キングからは批判されています。
ジャック役には、ジャック・ニコルソンが。「イージー・ライダー」(69)でアカデミー賞助演男優賞賞にノミネートされ、その名を轟かせて以降も「ファイブ・イージー・ピーセス」(70)で同賞主演男優賞にノミネート、「チャイナタウン」(74)ではゴールデングローブ賞主演男優賞を受賞し、「カッコーの巣の上で」(75)ではアカデミー賞主演男優賞の受賞を果たすなど、その演技力は高く評価されてきました。本作では賞の受賞に絡んでいないものの、現在でも広く認知される彼の代表作です。「バットマン」(89)のジョーカーや、「最高の人生の見つけ方」(07)のエドワードも印象深い役どころですよね。
妻のウェンディーは、シェリー・デュヴァルが演じました。独特な存在感を放つ彼女は、キャリア10年目の時に本作へ出演しています。他にも、ロビン・ウィリアムス主演の「ポパイ」(80)などで活躍しているようです。
ダニー少年を演じたのは、当時6歳だったダニー・ロイド。子役時代に俳優を辞め、現在は教師として生物学を教えているそうです。ちなみに本作の続編「ドクター・スリープ」(19)では、野球場の観客としてカメオ出演を果たしているそうですよ。
ギネス記録を持つ映画?
キューブリック監督が完璧主義者として知られているのは有名な話。本作はそれが特に顕著で、撮影にはかなりの時間を要したそうです。1シーンにかけたテイク数はギネスにも記録されているほどで、その数なんと148回。ダニーとハロランが超能力について話す冒頭のシーンでした。また、ウェンディー役のシェリーが怯える演技に現実味を持たせるためにわざと127回もテイクを重ねたという裏話も。当時を振り返るシェリーは、「35回はリテイクしないと進めなかった。走って、泣いて、小さな男の子を抱えて…それはハードだった」と語っています。さらに、スケジュールを見て1日泣き続けなければならないことを知ると、その思いだけで泣けたとも明かしていて、心身ともに相当ハードな撮影現場だったことが伺えます。あの緊迫感は、実際の疲れや極限状態から出ていたのですね…。
鏡の秘密
本作では、鏡のあるシーンが度々登場します。これは、だんだんとジャックが連れ込まれる“あちら”の世界への入り口として使われているのではないでしょうか。
例えば、自宅の洗面所でダニーがトニーと話している場面。ダニーは鏡に向かって喋っていました。彼があちらの世界と繋がれることを示唆しているのだと思います。
また、ホテルの部屋では鏡に映るジャックを意図的に映しています。住み始めて間もない頃に朝食を持ってきたウェンディーと話すシーンや、ダニーが「僕とママをいじめないで」とお願いするシーンです。序盤から中盤にかけて登場する場面ですが、あくまでも鏡に映るのはジャックだけ。ダニーやウェンディーには焦点が当たっていないのです。つまり、あちら側の世界がジャックを呼んでいることを表しているのでしょう。
だんだんとジャックが狂気を帯びていく中盤以降では、彼が鏡の中=異世界に入っていくのが分かります。例えば、風呂場で出くわした裸体の美女は鏡に映ると老婆の死体でした。死体が現実なので、美女に触れたジャックはあちら側にいることになりますよね。
また、バーでの出来事も同様です。ロイドの背景にあったのも鏡、トイレでグレーディーの後ろにあったのも鏡…。しかし、トイレのシーンだけ少し違うことにも注目です。この時ジャックはグレーディーが鏡に映っているか確認する素ぶりを見せるのですが、私たちにはその鏡のカットを見せてくれません。意図的に隠されているのでしょうか。そのためグレーディーがどちら側なのかは分からず、“ジャックがずっと前から管理人だった問題”の謎も深まります。
そしてダニーが鏡の向こうと交信できることが表れているのが、有名な「REDRUM」のシーン。ダニーは、トニーの声で「レッドラム」と繰り返しながら鏡の方からやって来て、ウェンディーの横にある包丁を取ります。そして再び鏡の方へ戻り鏡台の前で口紅を取っているのですが、その時ダニーの姿は鏡にありません。つまり、彼は異世界にいる状態(=トニー)なのですよね。そして扉に「REDRUM」と描き、ウェンディーが鏡越しに見ると「MURDER」だった…。現実世界にいるウェンディーが分かるように、あちらの世界から反転文字を書いたということではないでしょうか。
犬男の正体とは?
斧を持ったジャックに襲われている最中、ウェンディーが目撃する犬男の姿を覚えているでしょうか? タキシード姿の男に覆いかぶさっていた茶色いアレです。一瞬だけ、しかも突然登場するので強烈なインパクトを残しますが、その正体は謎に包まれています。
キングの原作では、犬男を目撃するのはダニーなのだそう。またタキシードの男は以前のオーナーで、犬男はその腰巾着的存在として説明されているようです。映画においてもその設定が継承されているのかは不明ですが、2人が過去からの霊であることは間違いないでしょう。しかも彼らは襲ってくるわけではないんですよね。あくまでもホテルの中に“いる”だけで、「あ、見られちゃった」みたいな顔をしています。だからと言って安心することはできず、むしろ広大な敷地の中に、よりたくさんの異物が存在していると思うと恐怖が増すのではないでしょうか。見てはいけないものを見てしまった時の嫌な感覚に加え、奇妙な世界に迷い込んだ緊張感…しかも、上記で述べたようにこのシーンも何度もリテイクしていたのだとしたら、ウェンディーの絶望感たるや…ですね。
ラストの写真の意味は?
最も謎が残るのがラストの写真。1921年の舞踏会にジャックが写っていた理由が気になりますよね。問題は最初から写っていたのか、一連の出来事を終えて写り込んだのかですが、キューブリックはこれについて「ジャックの生まれ変わりを暗示している」と語っています。つまりジャックは最初から写っていて、昔からこのホテルの管理人だったということでしょうか。
思えばダニーとの会話で「できたらいつまでもここに 永遠に ずっと」と、永久を匂わせていたし、グレーディーからは「あなたこそずっと昔からここの管理人だった」と言われています。何やらジャックの存在自体がホテルと強い結びつきを持っているよう…。
ヒントは、彼がチャールズ・グレーディーと同じく斧で家族を殺そうとしていることではないでしょうか。ジャックは昔からホテルの管理人で、家族を惨殺し自殺しては生まれ変わり、また同じことを繰り返していた…。そうして殺された人々の霊が住み着きホテルは賑やかになっていきますが、今回は超能力を持っていたダニーがハロランに危険を知らせたために逃げられてしまったのでしょう。バーで出会ったデルバート・グレーディーは、ダニーが“私たちの世界”によそ者を連れ込もうとしていると言っていましたよね。転生を繰り返す度に人を殺し、ホテルに霊の仲間を取り込んでいくジャックの狙いを妨げる存在だと危惧したのだと思います。さらにグレーディーが「私もずっとここにいる」とも述べていることから、彼は過去に殺人を犯して死んだジャック自身だったのかもしれません。
続編「ドクター・スリープ」も要チェック
19年には続編となる「ドクター・スリープ」が公開されて話題になりました。本作の40年後、大人になったダニーが連続児童殺害事件に巻き込まれ、その謎を解いていくうちにオーバールック・ホテルに戻ってくるという物語です。メガホンを取ったのは、オキュラス 怨霊鏡」(13)など数多くのホラー作品をてがけてきたマイク・フラナガン監督。ダニー役はユアン・マクレガーが演じました。“完璧な続編”としても評価される本作もあわせて楽しめます。
感想とまとめ
完璧な映像美とリアルを追求した役者たちの熱演、謎の残る物語…と、一口にホラーとは言いきれないほど見どころが詰まった作品でした。個人的には音も印象的で、耳鳴りのような不快なBGMが、より恐怖を掻き立てたように思います。ホラーの金字塔だけあって、いつ見ても怖い…! ここでご紹介した豆知識も含めて、もう一度よく見てみると違った楽しみ方を発見できるかもしれませんよ。
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