【ネタバレ】シン・エヴァンゲリオン劇場版レビュー アスカ・ラングレー式波と惣流の違いについて解説

 20年ほど前に新世紀エヴァンゲリオンのテレビ版DVDから視聴をして嵌り、旧劇場版もDVDで、新劇場版は全て映画館で観賞しました。完結編のシン・エヴァンゲリオン劇場版𝄇 の自分なりの感想と考察を述べていきたいと思います。(あらすじはWikipediaを参考にしました)

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全体として

 一般的に前作シン・エヴァンゲリオン劇場版Qがかなり酷評されています。私自身もQは公開初日に映画館で観賞しました。あまりのめまぐるしい展開と想像の斜め上を行くストーリー展開について行けず置いてきぼり、途中映画館のトイレに行ってしまった数少ない映画でした。今回のシン・エヴァンゲリオン劇場版𝄇も専門用語が多く、展開も唐突で登場人物のほぼみんなが早口で喋るのと後半が非常に分かりにくく一見さんお断りの内容でした。絶賛という訳ではないですが、今回は庵野監督も一応、広げた風呂敷は畳んで伏線もある程度回収しています。興行収入も100億円を突破して興行的には成功を収めました。

 旧劇場版のようにシンジとアスカを除き人類全滅という放り投げた結末にはなっていません。このあと、庵野監督も鬱状態になったようです。もっともほとんどの人類がLCL化しシンジとアスカがアダムとイヴからの人類のやり直しとも捉えられますが。

 庵野監督は1960年5月生まれの61歳、私とほぼ同年代でゴジラやウルトラマン、仮面ライダー、宇宙戦艦ヤマト、機動戦士ガンダムで育った世代で趣味趣向が同じかなと思います。庵野監督の大ヒット作シン・ゴジラも劇場で観ました。こちらは各方面から絶賛され、未知の巨大生物に対する政府、自衛隊、取り巻く諸外国などとのリアルな対応、展開にぐいぐいと引き込まれました。公開が延期されたシン・ウルトラマン、そしてシン・仮面ライダーと続いて行くようで、期待が膨らみます。

あらすじ

 オープニングはビジュアル的にはすごく美しく、赤く荒廃したパリ市街地、特に朽ちた赤いエッフェル塔がとても印象的です。葛城ミサト率いるのヴィレの旗艦AAAヴンダーから艦隊と真希波・マリ・イラストリアスの乗るEVA8号機とリツコと若い作業員たちが降下し、「ユーロNERV第1号封印柱」の復旧作業を始めます。いつもながら唐突ですが観る者をグイグイ引き込みます。

 碇ゲンドウのネルフの奇怪な量産型エヴァ現れてヴィレとエヴァ8号機との戦いになりますが、激しい戦闘末、美しい元のパリを取り戻します。

 前作Qのあと、アスカはシンジとレイを連れ、救助を求めて赤い大地を放浪していた。やがて三人は大人になった相田ケンスケに救助され、ニアサードインパクトの避難民村「第3村」へ辿り着きます。同じく大人になった鈴原トウジ・ヒカリ夫妻らに歓迎され、彼らと共に村での生活を始めます。村の感じはアニメ「その世界の片隅で」のような感じです。レイは鈴原家の世話になり、挨拶を教わったり、鈴原夫妻の娘の世話や、村民に農作業などの仕事を教わる交流を通じて、人間らしい感情や言葉を覚えていきます。

 シンジはアスカとともに相田ケンスケの家に泊ます。シンジは鬱状態になり廃人近くなります。いつまでも引きずってウジウジする様子をアスカに責められたシンジはケンスケの家から家出し、一人で過ごすようになります。シンジはレイやケンスケたちに見守られ、次第に元気になっていくが、その矢先、レイがLCLとなって死亡する。この首チョンパのシーンは、旧劇場版で巨大綾波レイが朽ちるシーンと並んでトラウマになる人も多い事でしょう。その日、ネルフとの最終決戦に向け準備を進めるヴンダーが第3村に寄港し、船に戻るアスカに対し、シンジは乗船を志願します。

 ヴィレはネルフを壊滅させるべく「ヤマト作戦」を発動させる。「ヤシマ作戦」やシン・ゴジラの「ヤシオリ作戦」好きの人には不評の様です。これも展開が早くかつ分かりにくく、ほぼ空中戦でリアリティがなさすぎだと思われます。ヤマトという名前が立派な作品の割には印象に残らないので残念です。

 作戦は旧南極のネルフ本部に対し、大気圏外からヴンダーで強襲、冬月が乗る同型の2番艦による迎撃を切り抜け本部を爆撃、さらにアスカの新2号機とマリの改8号機を投下する。両機はMark.07の大軍を突破するが、新たな小型EVAの敵軍により改8号機が足止めされ、新2号機は単独で第13号機へと向かう。アスカは、まだ停止している第13号機に停止信号プラグを打ち込もうとするも失敗。

 アスカは自身と新2号機を第9の使徒と化すことで事態の解決を図ろうとしますが、突如第13号機が再起動して新2号機は大破し、現れた式波シリーズのオリジナルによって第13号機の中へ連れ去られます。第13号機が新2号機からプラグを抜き取ると、新2号機はLCLとなって崩壊する。

 ヴンダーと交戦していた2番艦と3番艦が戦線離脱し、光の羽を展開、黒き月をもとに2本の槍を生成する。ヴンダー側はこれを好機と見て反撃しようとしたが、4番艦の不意打ちを受けて大破、Mark.09-Aによって再び制御システムを乗っ取られてしまう。改8号機はMark.09-Aを捕食吸収してアダムスの器の能力を手に入れる。

 無力化されたヴンダーの甲板に突如、ネブカドネザルの鍵を使い神になったゲンドウが現れ、ヴンダーの主機であった初号機を奪い、第13号機と融合し、さらに深層の「マイナス宇宙」へと向かってゆく。甲板に出たシンジはEVAに乗ってゲンドウを追うことをミサトに願い出る。ミサトはそれを認め、シンジの行動の責任は全て自分が負うと宣言した上で、彼に託したいとクルーを説得する。シンジはミサトと最後の会話を交わし、マリの改8号機に同乗してゲンドウを追います。

 シンジとマリの乗った改8号機はマイナス宇宙へと突入し、シンジは初号機に残っていたレイに呼びかけ、そちらへテレポートし乗り込む。初号機は第13号機と格闘しながらマイナス宇宙内を流れ、両機は「ゴルゴダオブジェクト」と呼ばれる巨大な構造物へと到達します。

 気が付くと、シンジは14年前のネルフ本部でゲンドウと対峙していた。人類はマイナス宇宙をそのまま知覚することはできないため、シンジの過去の記憶が再現されているのだとゲンドウは説明する。特撮の撮影用セットに設えられた第3新東京市、ミサトのマンション、レイの団地など目まぐるしく変化していく記憶の場所を舞台に、初号機と第13号機はそれぞれの槍を手にして戦う。しかし初号機は第13号機に敵わず、決着をつける手段は力ではないとゲンドウに諭されたシンジは、彼との対話へと踏み出します。

 場面転換し、シンジとゲンドウは古い電車の中で対話を始めます。ヤマト作戦以降、私は全くついて行けませんでした。テレビ版でもあった内面的なエヴァの象徴的なシーンです。私はウルトラセブンとちゃぶ台を挟んでのメトロン星人の対話を想い出しました。地球を侵略しようとするメトロン星人がセブンとちゃぶ台、古い電車での会話もレトロチックでとてもシュールです。

 ゲンドウはシンジに、自らの過去や内心や願いを吐露する。そして実在しない架空のEVA「エヴァンゲリオン・イマジナリー」へと到達したゲンドウは、自身の目的は虚構と現実とが渾然となる「アディショナル・インパクト」にあることを明かし、それを起こす。イマジナリーはレイの姿をした巨人に、エヴァンゲリオン・インフィニティは無数の首のない女性の姿に変化して世界を埋め尽くします。ここも気持ち悪くてトラウマになりそう、私は「フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ」が幼少時よりトラウマでしたが、今の子供にはこんなのがトラウマになるのでしょう。

 一方でマリは2番艦へ辿り着き、冬月と久しぶりに再会する。マリはシンジやアスカと同じ14歳の設定ですが、ゲンドウや冬月とは大学時代からの仲間としての付き合いのような感じです。冬月は自身の役目を終えたことを告げ、「あとは、よしなにしたまえ」とマリに伝えてLCL化する。改8号機は冬月が用意していたMark.10 – 12を捕食吸収し、2 – 4番艦を撃破する。

 ヴンダーはほぼ壊滅状態であったが、残った力で初号機に必要な新たな槍を生成する。クルーを退避させ一人艦橋に残ったミサトは、ヴンダーもろともイマジナリーへと特攻。生成された「ガイウスの槍」はシンジの元へと届けられる。ミサトが命を賭して送り届けた槍を受け取るシンジを見て、ゲンドウはシンジが他者の命を受け止めるほど成長したことを知ります、同時に自らの計画が頓挫したことを悟る。ゲンドウはシンジのなかにユイの姿を見いだし、それまでの自身の行いをシンジに詫びて、一人電車から降りてゆく。それと入れ替わりにカヲルが現れ、後の役割を引き継ぐと語る。

 ここからは、アスカ、カヲル、レイの魂の救済が描写されていきます。

 まず、シンジがアスカの魂に呼びかけると、彼女は自身の過去や内面を吐露する。そこでは、泣いている幼いアスカの横に大人のケンスケが寄り添っていた。赤い海の砂浜で横になるアスカにシンジとマリが別れを告げると、アスカが乗った第13号機のエントリープラグが射出される。次に、カヲルとシンジ、カヲルと加持リョウジの対話が続く。実はカヲルは複数人存在し、ループする作品世界で、シンジを幸せにするために何度も手助けして来たと告げる。しかし、本当は自分自身が幸せになるためにシンジを幸せにしたかったのだと気付いたカヲルは、シンジに後を託し加持と去っていく。最後に、シンジは初号機の中のレイに語りかける。シンジは、世界をEVAのない新しい世界へ作り変えることを伝えてレイを見送ります。

 シンジは世界を作り変えるネオンジェネシスを実行し自らと初号機を槍で貫こうとするが、彼を守るかのようにユイが現れ、シンジを元の世界へと送り返す。そして初号機はユイを、第13号機はゲンドウを中に残したまま自らに槍を刺し、消滅する。続いて他のエヴァも立て続けに槍に貫かれて消え、崩壊したイマジナリーとインフィニティの大群は人々や動物たちの姿に戻り地球に降りてゆく。そのあとシンジは、青い海の浜辺に座っていた。そこにマリが帰還し、最後のEVAとなった彼女の機体もまた消滅します。

 場面が変わり、大人の姿になったシンジは庵野監督の故郷でもある宇部新川駅のホームのベンチに座っています。向かいのホームには会話しているレイとカヲルの姿があり、それとは別にアスカの姿もある。マリがシンジのもとに現れ、シンジの首のチョーカーを外す。2人は手を繋いで階段を駆け登り、駅の外へ走っていきます。

Melody of Movieの評価

90点

■各レビューサイト参考

映画.com:4.1

Yahoo!映画:4.19

Filmarks:4.3

みんなのシネマレビュー:3.38

※みんなのシネマレビューは10段階→5段階評価に換算しています

好きな市井の生活

 前半は、少し冗長だけど生き延びて大人になったケンスケとトウジたち集落の人々とのほのぼのとした生活が続きます。私にとってはトウジやユウスケのいた戦後暫くしてのような集落が一番幸せそうに感じた次第です。共同生活は今の時代のようなギスギス感もないし、トウジの妻である元委員長ヒカルのお父さんにいつまでもウジウジしているシンジを注意してくれる。近くで叱ってくれる人はほんと重要です。レイに対する市井のおばさん達のおせっかいも昔ながらで温かい。こんな時代があったな、戻りたいなというのが庵野監督の願いかもしれません。

惣流アスカ ・ラングレーと式波アスカ・ラングレー

 元の名前は惣流アスカ ・ラングレーで新劇場版では式波アスカ・ラングレーに名前が変わっています。エヴァンゲリオンでは冷静で孤独が好きで暗めの綾波レイと対を成す明るく分かりやすいキャラクターです。惣流アスカ ・ラングレーは母を失って、エヴァパイロットに人生をかけてます。始めは日独ハーフで知能も高い設定でしたが、後半はあまり知性を感じない直情的なキャラクターなっています。新劇場版Qからはアスカの眼帯をしています。破で使徒に侵された眼には「呪詛文様」が仕込まれているようで時々光ります。 アスカの眼帯は使徒封印用アイテムでしょう

 出自に関する設定は旧版から大きく変更されており、式波アスカとは、EVAパイロットおよび補完計画の道具として造られたクローン人間、シキナミシリーズの1人、選別された生き残りであることが判明する。そのため両親はおらず、母親に関するトラウマの設定も無くなっている。多数のクローンとの生存競争に勝つため、EVAを誰よりも乗りこなすことだけを自らの存在価値とし、ユーロ空軍のエースに上り詰めた。しかし心の底では自分を認めてくれる他人の存在を求めており、パペットはその衝動を押しとどめるために自分に言い聞かせるのに使っていた。マイナス宇宙の浜辺で目覚めたアスカは28歳の姿でした、ミサトやリツコ、加地リョウジと同じ年代。「ケンスケによろしく」と送り出すシンジによって13号機のエントリープラグごと第三村のケンスケ宅の庭先に帰還した。

 一方、13号機にアスカを取り込んだ「オリジナルのアスカ」の詳細劇中では触れられていません。シンジやレイ、カヲル、マリが帰還した「ネオンジェネシス」の世界にて、駅の向かいのホームのベンチにアスカらしき女性が座っているのが、彼女がシキナミオリジナルなのか、あるいは惣流アスカなのかについては触れられていません。

致命的なリアリティのなさ

 テレビシリーズでも古い電車の中での会話が多くなる内面世界についていけず嫌いでした。特務機関ネルフと汎用人型決戦兵器エヴァンゲリオンを中心に人類が英知を駆使して強大な敵・使徒と闘ういわゆるアクション編が好きで、特にヤシマ作戦の回が大好きでした。新劇場版4部作の中では「破」が一番好きです。最終のエヴァンゲリオン劇場版𝄇もタイトルがリピート記号なのでテレビ・旧劇場版といろいろ戻ったりして混乱します。今回も内面の世界が後半多くの時間が割かれていて、何が何だか理解しにくく、あとで考察サイトなどを見て理解した次第です。いろんな解釈が出て観る者に放り投げしているようにも感じます。まだよく理解できてない面もありますが、それを全部ひっくるめてエヴァの世界なんでしょう。

 今回もヤマト作戦でみられたように、ヤシマ作戦の緻密描写・設定がなく、高揚感もなかったのは非情に残念です。同じ庵野監督の「シン・ゴジラ」も政府や自衛隊、外交問題等リアリティがあるところがファンには好評でした。私もシン・ゴジラのラスト「ヤシオリ作戦」が好きなだけに今回はリアリティをある程度重視でと思ったのですが、荒唐無稽なQからの流れですから取り戻せませんものね。前半の第3村でのシーンが良かっただけになおさらです。

 また音楽に東宝特撮映画の惑星大戦争の激突!轟天対大魔艦」がさよならジュピターのユーミンの曲も入ってて、昭和で宇宙戦艦ヤマト世代のわたしとしては嬉しい限りでした。もっともAAAヴンダーは、どうも好きになれない。ヤマトや「惑星大戦争」や「海底軍艦」に出ていた轟天号、あるいはマイティジャックとかサンダーバード2号は空を飛びそうな感じがするし、それらの飛行シーンと飛行までのシークエンスは美しい。AAAヴンダーは奇をてらいすぎてかなり醜い。それと空を飛ぶには少しリアリティなさすぎかな。プラモデルやフィギュアも売れてないようだしファンにも不評なんでしょうね。

結局のところ……

 碇ゲンドウはニア・サードインパクトで人類をほぼ壊滅させて何をしたかったのかというと、今は亡き最愛の妻ユイと会いたかったためだけのように思います。人類をほぼ絶滅させておいてとんでも親父です。元々は新世紀エバンゲリオンなので、ネオジェネシスシーンが最後に盛り込まれてのハッピーエンド。年齢不詳の謎の少女・真希波・マリ・イラストリアスは冬月やゲンドウ、ユイと大学仲間ではと思います。昭和歌謡も好んで歌っていたのでゲンドウたちと同年代かと。何らかの理由で若返ったのでしょうか謎は謎のままでした。ちなみにエヴァのキャラクターの名前第二次世界大戦の戦艦、空母の名前がほとんどです。エヴァを観続けて20年余り感動も歓喜も混乱も怒りも消化不良もありましたがやっと終わったという感じです。しかし日本のアニメシーンに永遠に残るシリーズであることは間違いがいないところです。とにかく長かった感無量。

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