刀ミュは今や紅白歌合戦やJapanExpoに出演するほどになり、一番有名な2.5次元作品といっても過言ではありません。今回は、刀ミュの中でも2017年2019年と2回上演された人気作「三百年の子守歌」についてレビューしていきたいと思います。
目次
そもそも刀ミュとは?
刀ミュとは、日本刀を擬人化した育成ゲーム『刀剣乱舞』の2.5次元ミュージカル作品のことです。刀剣乱舞は、2205年の未来から過去に遡り、歴史を改変しようとする存在である時間遡行軍を殲滅し正しい歴史を守るのが、刀剣男士たちの使命です。刀ミュは、二部構成になっています。一部は演劇、第二部はライブです。ライブパートでは、アイドルのライブと同じようにペンライトやうちわを使っての応援が可能となっています。
刀ミュ「三百年の子守唄」のストーリーとは?
※ここからネタバレを含みますのでご注意ください
あらすじ
舞台は天文11年12月、三河岡崎城です。遠征任務で向かった三河の地で、にっかり青江と大倶利伽羅は時間遡行軍の奇襲に遭います。敵の数も多かったため、にっかり青江と大倶利伽羅は苦戦を強いられ、岡崎城に駆け付けるも間に合いませんでした。一方、本丸では、にっかり青江と大倶利伽羅からの連絡が途絶えたため、石切丸・千子村正・蜻蛉切・物吉貞宗の四振りが三河に捜索に向かうことになります。岡崎城に向かった四振りが見たのは、赤ん坊を抱いているにっかり青江の姿だったのです…
ここがポイント
石切丸は服部半蔵、蜻蛉切は本多忠勝、千子村正は井伊直政、にっかり青江は酒井忠次、大倶利伽羅は榊原康政になっていることを念頭に置いておかないといきません。これが分かっていないと途中で頭に?が浮かんでしまいます。
刀ミュは二部構成!
「三百年の子守唄」第一部演劇の内容
天文十一年十二月、三河・岡崎城でのことでした。遠征任務で向かった三河の地で、にっかり青江と大倶利伽羅は時間遡行軍の奇襲に遭います。時間遡行軍により後に敵の数も多く、にっかり青江たちは苦戦を強いられ、岡崎城に向かうも間に合いませんでした。任務失敗かと思われたその時、赤ん坊が生きていることに気付きます。この赤ん坊こそが竹千代の君、のちの徳川家康だったのです。赤ん坊の家康一人を残し、松平家は全滅してしまいます。6振りの刀剣男士たちは、家康の天下統一に大きな役割を果たしたとされる家臣たちに成り代わり、竹千代君を育てることになります。歴史を元通りにするための子育てをすることが刀剣男士たちの任務となったのでした。期間としては、家康が生まれた天文11年(1543年)から家康が亡くなる元和2年(1616年)までの長期間任務になります。
あっという間に時は過ぎ、竹千代は、赤子から少年にそして元服して家康となります。そして息子信康が生まれ、彼もまた大人へと成長していきます。この時の流れを「かざぐるま」という曲で表現しています。この曲を背景に家康、家康の日常風景が演じられます。また、
竹千代や家康の息子・信康の成長を願う子守唄「瑠璃色の空」という曲は、「三百年の子守唄」とあるように、本作のキーとなる楽曲として何度も登場します。最後のシーンでも刀剣男士全員で「瑠璃色の空」を歌って閉幕となります。
そして、史実通り、信康は家康に切腹を命じられます。それを家康は晩年まで悔やんでいたとされています。時は流れ、元和2年4月17日家康は亡くなります。家康が亡くなる直前に物吉貞宗に「戦が大嫌いだった。戦はすべてを奪う。親の腕に抱かれ子守唄を聴いて安らかに眠る…わしはそんな当たり前のことすら許されぬ世の中を呪った…この世から戦をなくしてなりたい…」「見てみぃ…この泰平の世を…これがわしが望んだ世じゃ!」と言います。そして家康が亡くなり刀剣男士たちの長い任務は幕を閉じるのです。
ストーリーとしては、上記のような内容です。おすすめポイントとしては、刀剣男士たちが付喪神では無く人間として過ごしたことで、人間的な感情が芽生えてしまったのが感じられるところです。その部分は石切丸が信康を斬りに行こうとするシーンに特に表れていると思います。信康は天正7年9月15日に切腹することが決まっています。そのため、石切丸は信康を斬りに向かおうとしますが、物吉貞宗はそれを止めようとします。そして石切丸に向かって「なんの罪もない人を殺せるのか。殺す理由がなんなんだ」と詰め寄ります。それに対して石切丸は「理由なんてどうでもいいんだ。それが歴史上の真実だ。それが徳川家康の歴史ではないか。」と諭します。その後、物吉貞宗が一人でつぶやいた「僕たちは刀剣男士なんだ。違う未来を期待してしまうなんて。長く一緒にいすぎちゃったからかな…」というセリフによく表れていると思います。その後、にっかり青江も「手に入れてしまった以上心を捨てることは出来ない。あまり無理をすると壊れてしまうんだって」と物吉貞宗を慰める発言をしています。
刀剣男士としての使命と人間としての感情の板挟みになり苦悩する彼らの姿は見ていてぐっとくるものがあります。
「三百年の子守歌」第二部ライブの内容
刀ミュでは、二部はライブです。刀剣男士たちが踊りながら歌い、アイドルと同じようにファンサをしてくれます。曲は、9曲ほどでした。1曲オープニング、2曲目「響き合って」歌:全員、三曲目「Stay with me」歌:全員、4曲目「手が届くまで」歌:石切丸・にっかり青江、5曲目「風の先へ」歌:大倶利伽羅・物吉貞宗、7曲目「Impulse」歌:千子村正・蜻蛉切、8曲目「百万回のありがとう」歌:全員、9曲目「闘魂歌」歌:全員10曲目「刀剣乱舞」歌:全員となっています。
3曲目と4曲目の間には手紙を朗読するコーナーがあり、日替わりで刀剣男士同士がお互いに手紙を朗読します。
8曲目が客席に降りてきてファンサしてくれる曲です。また、ファンサの時の曲は日替わりになっています。上記に書いた「百万回のありがとう」だけでなく、「その胸に風を」や「Junk history」などの3曲が日替わりで歌われます。私的には、7曲目がおすすめです。村正役の方と蜻蛉切の方が歌唱力の高いので、めちゃくちゃかっこいいです。
まとめ
今回は、刀ミュ「三百年の子守歌」のレビューを行いました。少しでも刀ミュに興味を持っていただければ幸いです。刀ミュは、2015年より公演されており、現在まで数多くの演目が演じられています。どの公演から見たらいいか分からないという方も多いと思いますが、私はこの「三百年の子守唄」がおすすめです。他の刀ミュの公演とは少し毛色が違いますが、歴史ものの舞台としての完成度がとても高いからです。それに、竹千代の成長とともに刀剣男士たちも人間として長い時間を過ごし、人間のように感情を動かし、人間的に刀剣男士としての歴史を変えてはならない使命と赤子の頃から関わってしまったことで芽生えた情に揺れ動く様子は人間ドラマとしてとても面白いと思います。他の公演では無い設定ですし、一番泣ける演目です。私も最初に観た演目がこの「三百年の子守唄」だったので、まさか2.5次元ミュージカルで泣くことになるとは思っていませんでした。ただ、刀ミュはチケットも中々当たりませんし、コロナ渦で見に行くのも難しいかと思います。しかし、dアニメストアやDMM動画、wowwowなどでも見ることが出来ます。特にdアニメストアは過去作が見放題で見ることが出来ますのでおすすめです。