ミュージカル『刀剣乱舞』(通称刀ミュ)は、大人気ゲーム『刀剣乱舞-ONLINE-』を原作にした演劇作品。
キャラクターの再現度に加え、ミュージカルとライブの二部編成で楽しめるのが特徴で、2.5次元作品の代表格と言われる超人気作です。
2021年1月~3月に上演された舞台『刀剣乱舞』天伝 蒼空の兵 –大坂冬の陣を観劇し、見事“刀ステ沼”に片足を突っ込んだわたくし・・。
しかしミュージカル『刀剣乱舞』は観劇したことがありませんでした。
なぜこれまで刀ミュに触れてこなかったかというと、「刀ミュ=推しキャラがいないと楽しめなさそう」というイメージがあったから。
原作ゲームも未プレイでこれといった推しキャラもいないので、刀剣男士に声援をおくるような演出には抵抗があったのです。
そんな筆者でしたが、今回dアニメストアで配信中のミュージカル『刀剣乱舞』阿津賀志山異聞2018 巴里で刀ミュ初視聴!
刀ステだけを知っている刀ミュ初心者の目線で、感じたことを語っていきます。
目次
舞台『刀剣乱舞』とミュージカル『刀剣乱舞』の違い
まずは改めて舞台『刀剣乱舞』とミュージカル『刀剣乱舞』の違いについて説明しておきましょう。
どちらも原作は同じ『刀剣乱舞-ONLINE-』で、舞台『刀剣乱舞』(通称刀ステ)は演劇を中心としたいわゆるストレートプレイ。
一方ミュージカル『刀剣乱舞』(通称刀ミュ)はミュージカルとライブの全二部構成で、観客はペンライト等を振りながら推しに声援をおくることができます。
三日月宗近などの人気キャラは刀ステと刀ミュどちらにも登場しており、それぞれ違った役者が演じているのも魅力です。
刀ミュは音楽活動も盛んで、Mステや紅白歌合戦などの音楽番組に出演した経験も。「実写の刀剣男士をTVで見た」という場合ほとんどが刀ミュの方かと思います。
一方刀ステのキャストは2019年に公開された実写版『映画刀剣乱舞』に多く出演。
二つの作品はそれぞれの形で2.5次元舞台の枠を超えた実写版『刀剣乱舞』を体現しているのです。
ミュージカル『刀剣乱舞』阿津賀志山異聞2018 巴里のここに驚いた!
“主”の声が聞こえる!刀ステとの明確な違い
刀ミュ初心者の筆者にはやはり刀ステとの違いに気づけるのが面白かったです。
一番驚いたのは、刀剣男士を顕現した審神者である“主”の声が聞こえること!
刀ステでは“主”は一切登場せず、刀剣男士は客席側に“主”がいる体で語りかけます。
そのスタイルは刀ミュも変わらないのですが、主の声として年配の男性の声が流れるのです。
見る人それぞれの“主”像を描かせる刀ステと、あえて主”像を特定し物語に引き込む刀ミュの違いが明確に現れています。
歌って踊れるフレッシュなキャスト
刀ステとの違いというとやはりキャストの違いも面白いです。特にメインキャラである三日月宗近は舞台版との違いがよく分かります。
刀ステの鈴木拡樹さん演じる三日月宗近は、ひょうひょうとしながらもどっしりとした貫禄があり、いかにも「おじいちゃん」な雰囲気でしたが、刀ミュの黒羽麻璃央さん演じる三日月は、どこか掴みどころのない神秘的なイメージ。
全体的に見ても刀ミュのキャストさんはフレッシュな印象で、演技だけでなくダンスもキレキレでした。
意外と重いストーリー展開
刀ミュのストーリーに関しては、重く複雑な刀ステとは対照的に華やかで明るいものだろうと思っていた筆者。
しかし予想に反し刀ミュのストーリーも意外と重い!
しかもそこで描かれるのは刀剣男士の「歴史を守るという宿命の辛さ」という、刀ステとほぼ同じテーマ。
例えば今回の阿津賀志山異聞では、源義経の刀であった今剣(いまのつるぎ)が、歴史上は自害するはずの義経を救おうと奮闘します。
刀剣男士でありながら、愛する元主を守るため歴史改変を試みようとする姿は刀ステの不動行光と重なります。
物だった刀剣が心を持ってしまったことへの戸惑いが見られるシーンもありました。
戦の才がありながらも兄に追われ天下をとれなかった義経の葛藤も、刀ステの「暁の独眼竜」に通ずる部分があります。
舞台版とミュージカル版、どちらも根本的に描くテーマは共通しているのではないでしょうか。
刀剣男士が歌う「会いたくて会えなくて~」
ミュージカル『刀剣乱舞』で披露される曲は、ポップで聴きやすいものが多いのが特徴。
特にエンディングの『キミの詩』では「キミに会いたくて~でも会えなくて~」という、いかにもJ-POPな歌詞を着物姿の刀剣男士が歌うという
何ともミスマッチな演出が個人的に面白かったです!(良い意味で)
ライブだけじゃない!総合エンターテインメントな2部
刀ミュ最大の特徴でもある2部のライブパートでは、刀剣男士達がいつもの着物姿からライブ用の軽装にチェンジ。
刀を持たない刀剣男士が見られるのもこの2部だけです。原作では描かれてない姿が見られるのが新鮮でした。
刀剣男士が客席へ降りてファンサービスが貰えるのも、映像で見ているだけなのにドキドキします。運が良ければ刀剣男士達と触れ合えるかもしれません。
2018巴里では和太鼓の演奏などもあり、歌だけじゃなくさまざまなパフォーマンスを楽しめます。
ミュージカル『刀剣乱舞』阿津賀志山異聞2018 巴里を初心者が楽しむコツ
舞台『刀剣乱舞』では、オープニングで「刀剣乱舞」の世界観や刀剣男士という存在についての説明がされるのですが
今回見たミュージカル『刀剣乱舞』阿津賀志山異聞2018 巴里ではそれらの説明はありませんでした。
刀剣乱舞というコンテンツを全く知らないという方は、あらかじめ「刀剣男士」とは何かなど予習しておいた方が良さそうです。
「刀剣男士」とは
簡単に言うと刀剣の擬人化。審神者(さにわ)と呼ばれる、物に命を引き出す能力を持つ存在によって生み出された刀剣の付喪神(つくもがみ)のことです。
「阿津賀志山の戦い」とは
阿津賀志山は現在の福島県国見町の厚樫山という場所。そこで1189年(文治5年)8月に起こった源頼朝率いる鎌倉軍と藤原泰衡率いる奥州藤原氏の戦いです。
そのきっかけとなったのが今回のキーパーソンとなる源義経。
兄である源頼朝に追われていた義経は奥州藤原氏の元へ身を寄せました。その後頼朝の勢力に負け義経は自害することとなりましたが、彼をかくまったことで藤原氏は頼朝から敵とみなされ、阿津賀志山の戦いで滅ぼされることとなったのです。
初演「阿津賀志山異聞」を先に見るべき?
ミュージカル『刀剣乱舞』阿津賀志山異聞2018 巴里は、2015年に上演された刀ミュ1作目の「阿津賀志山異聞」のリメイク版。
「ジャポニスム2018 響きあう魂」の公式企画としてフランスのパレ・デ・コングレ・ド・パリ大劇場にて上演されるための公演でした。
2015年版とストーリーはほぼ同じなのですが、楽曲や演出の細かな違いがあるので両方見て違いを楽しむのもアリだと思います。どちらかというと2015年版の方を先に見たほうが分かりやすいです。
また2018 巴里では、小狐丸役の北園涼さんが公演直前に網膜剥離を発症した為出演が叶いませんでした。パリ公演では声のみの出演となり、映像配信されている東京公演では1部に代役として岩崎大輔さんが出演、2部のライブパートは小狐丸不在となっています。
【まとめ】ミュージカル『刀剣乱舞』を見ると劇場に行きたくなる!
ただ鑑賞するだけの舞台ではなく、エネルギッシュで観客一体型なのが特徴のミュージカル『刀剣乱舞』。
これはぜひ劇場で見たい!というのが率直な感想です
今回観劇した公演は新型コロナウイルスが流行する前のものなので、客席との掛け合いや間近なファンサービスなど、今は味わえなくなっているパフォーマンスも満載。見ていたら無性に劇場が恋しくなってしまいました。
ダンスやトークパートなど刀剣男士のさまざまな面が見られるので、初心者でも「推しキャラ」に出会えるかもしれません。
個人的には加州清光の可愛さに心が傾いた筆者でした!