ロサンゼルスを舞台に夢を追う男女を描いたミュージカル映画「ラ・ラ・ランド」(16)。世界中で話題になった有名な作品です。ここでは、そんな本作のあらすじや解説、レビューなどを紹介します。
目次
あらすじ
冬。ハイウェイで渋滞にはまり、後ろの車からクラクションを鳴らされて腹を立てるミア。女優志望の彼女はロサンゼルスの撮影スタジオ内にあるカフェでアルバイトをしながらオーディションを受ける日々を送っています。その日もオーディションは上手くいかず、友人に連れられて業界関係者が集うパーティーに参加するも、いい出会いはありません。しかしその夜ピアノの音につられて入った店で、運命的な出会いを果たすのです。
ピアノの音の主はセバスチャンという男で、店のBGMとしてクリスマスソングを弾くことを嫌っていました。そんな彼が店主の言うことを聞かず、自分が本当に弾きたかったジャズの音楽をつい奏でてしまった時に入店したのがミアだったのです。ミアは彼に声をかけようとしますが、店をクビになったセブは感じ悪くその場を去って行きます。
春。プールサイドのパーティーに参加したミアは、その会場でバンドとして来ていたセブと再会します。2人はこれをきっかけに知人となり、お互いの趣味や価値観を共有していくように。女優だったおばの影響で女優を目指すミアと、いつか自分のジャズクラブを持ちたいセブ。2人は次第に恋に落ち、グリフィス天文台でロマンチックなキスを交わすのでした。
夏。恋人同士になった2人は、いろいろな場所へ出かけます。ある日、旧友のキースと出会ったセブは、彼のバンドに入らないかと誘われました。古典的なジャズをやりたいセブはキースのことをバカにしていましたが、店の資金のため加入することを決意。一方のミアは、一人芝居の計画を始めていました。脚本の作成や劇場の手配など、全て自分でやるためバイトも辞めるほど。2人の生活がすれ違い始めた頃、ミアはセブが所属するバンドのコンサートに行き、その音楽が彼のやりたかったものとは全く違うことに驚きます。
秋。バンド活動で多忙を極めるセブと、一人芝居の準備に励むミアは完全にすれ違うようになっていました。そんな中、セブがサプライズで家へ帰ると、お互いの価値観の違いが露呈して口論に。ミアは、店の資金集めのため参加したはずだったバンド活動がいつの間にか目的になっていたセブに違和感を覚え、一方セブも、ミアが優越感のために不遇だった自分と付き合ったのだろうと口にしてしまうのでした。そうして迎えたミアの公演当日、舞台は大失敗。ごく僅かの観客からは批判され、一番来て欲しかったセブは現れませんでした。バンドの仕事を終えたセブが慌てて会場にたどり着いた頃にはもう遅く、ミアは実家へ帰ってしまいます。
しかし、その舞台をきっかけにミアはチャンスを掴みました。セブの元に配役会社から電話がきたのです。セブは諦めかけていたミアを呼び戻し、オーディションに連れて行きます。合格したらパリで撮影があると分かりますが、それを聞いたセブは「もしそうなっても自分はこの街で自分の道を進む」と言いました。
5年後の冬。ミアは女優として成功し、別の夫との間に子供も生まれ幸せに暮らしていました。ある夜、旦那と出かけて渋滞にはまったミアは、ハイウェイを下りて夕食にすることを提案します。するとその帰り、ある店から音楽が聞こえてきて…。旦那に連れられて入ると、そこはセブのお店だったのです。2人が出会った夜に弾いた曲を弾いてみせるセブ。その間に巡るのは、2人の恋がうまくいっていたかもしれない別世界の想像でした。曲が終わり、しばらくの間言葉を交わさずとも目を合わす2人なのでした。
Melody of Movieの評価
86点
■各レビューサイト参考
映画.com:3.8
Yahoo!映画:4.1
Filmarks:3.9
みんなのシネマレビュー:3.3
※みんなのシネマレビューは10段階→5段階評価に換算しています
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キャスト・スタッフについて
監督を務めたのは、デイミアン・チャゼル。‘09年にミュージカル映画「Guy and Madeline on a Park Bench」でデビューすると、’14年には「セッション」で注目を浴びました。ドラマーを目指す主人公が鬼教師の指導を受ける「セッション」と同様、彼自身も高校生の頃ジャズ・ドラムに打ち込んでおり、さらに、厳しい教師から指導を受けた経験があるのだとか。そうして作られた「セッション」で第29回サンダンス映画祭や第40回ドーヴィル映画祭などに出品され賞を受賞したほか、第87回アカデミー賞では助演男優賞と録音賞、編集賞の3つを獲得しています。ちなみに‘20年にNetflixで公開されたドラマ「ジ・エディ」も手がけており、パリのジャズクラブを舞台に物語が展開されています。
ミアを演じたエマ・ストーンは、「アメイジング・スパイダーマン」シリーズ(12、14)のヒロインでも知られる名優。‘05年、17歳の時にTVドラマでデビューを果たし、「スーパーバッド 童貞ウォーズ」(07)で映画初出演を果たしています。「小悪魔はなぜモテる?!」(10)でゴールデングローブ賞主演女優賞にノミネートされたことでブレイクしました。女優になるために高校を中退し15歳でロスへ越してきた彼女自身も、キャリア初期の頃はオーディションに落ち続けていたそうで、本作はそんな彼女の経験も投影しているのだそうですよ。
セブ役にはライアン・ゴズリングが。子役として活動を始めた彼は、ディズニー・チャンネルの「ミッキーマウス・クラブ」(93)が初出演。その後、レイチェル・マクアダムスと主演を務めた映画「きみに読む物語」(04)で一躍有名になりました。以降も「ハーフ・ネルソン」(06)ではアカデミー賞主演男優賞尾に初ノミネートされ、「ブルーバレンタイン」(10)や「ドライヴ」(11)など数多くの名作で活躍しています。本作で彼はピアノを披露していますが、実はこれ、本当に演奏しているのだそう。普通ならプロの手元と差し替える手法を使うところ、彼は3ヶ月間みっちり練習し、全て自分で弾くまでに成長しました。その役者魂に感服ですね…!
驚異の受賞歴!
公開されるや否や、世界的に大好評を得た本作。その証拠として、第89回アカデミー賞では史上最多の14ノミネートを果たしています。これは「イヴの総て」(50)や「タイタニック」(97)に並ぶ数だったのだとか。全ての部門での受賞は叶いませんでしたが、監督賞、撮影賞、作曲賞、歌曲賞、美術賞、そしてエマ・ストーンの主演女優賞あわせて6部門で受賞しました。授賞式では、作品賞発表の際、間違って本作が呼ばれてしまうハプニングも。舞台裏でプレゼンターに間違った封筒が渡されてしまったようです。作品賞を受賞したのは「ムーンライト」(16)でしたが、前代未聞のミスに世界中がザワつきました。
しかし、その評価は本物。第74回ゴールデングローブ賞では、ノミネートされた7部門で全てを獲得、第70回英国アカデミー賞では6部門を受賞しています。ちなみに、世界の興行収入は4億4600万ドルにものぼるそうですよ。
オープニングに隠された伏線?
本作の始まりは、ミアもセブも登場しないミュージカルブロックでしたよね。そこで歌われた曲「Another Day of Sun」では、女優の夢を追うため彼を置いて地元を出てきた17歳の少女の物語が歌われていました。
Summer: Sunday nights
夏、日曜日の夜
We’d sink into our seats
私たちは座席に沈み込んで
Right as they dimmed out all the lights
丁度、全ての明かりが消えたと同時に
A Technicolor world made out of music and machine
音楽と映写機によって広がる、テクニカラーの世界
It called me to be on that screen
それが私をスクリーンへと惹きつけ
And live inside each scene
あらゆるシーンがその内側へと引き込む
引用元:【洋楽和訳】 夢の紙袋 ― The Paper Bag Dream ―
これ、ミアとセブのことを示していますよね。劇中では映画を見ていた2人が、その後グリフィス天文台に行き、プラネタリウムの中へ溶け込む幻想的なシーンがありました。また、全体的にも“貧しくて困難だとしても夢を追う心があればまた立ち上がれる”といった内容で、物語全体が夢追い人のストーリーであることを示唆しているようでした。ということは、この曲を歌い出した黄色いドレスの女性はエマを表現しているのでしょう。
さらに深く考えれば、この歌を歌っている無名の出演者たちは、まさに今ロサンジェルス=夢へ向かっている途中なのではないでしょうか。そうすると、冒頭と終盤で登場する渋滞のシーンがモチーフ的に使われているような感じもしますよね。つまり、多くの人が夢に向かっている途中でみんなが競争している…。しかし最後にその道から抜けることのできたミアは、成功したことを表していたのです。
切ないラストの意味は?
気になるのが、ラストの回想シーン(?)は何だったのかということ。結局結ばれなかった2人が幸せになっていた未来もあったのかと思うと、切ないですよね…。しかし上に述べたように、冒頭でこの物語が“夢を追う人々を描いたもの”だと示されているのなら、ラストの意味も変わってくるのではないでしょうか。
回想シーンの中で2人は、出会った夜に恋に落ち、セブはキースの誘いを断っています。そうするとミアの一人芝居は大成功で、もちろんその中にセブもいました。ミアは配役会社の人に連れて行かれますが、セブと一緒にパリへ。そこでセブはジャズミュージックを奏で、ミアは女優として成功します。やがて子供ができた2人は、ドライブの夜に一緒に渋滞を抜けます。そうしてお店に入ると、最初の夜と同じ音楽が聞こえてきて…ミアはセブと一緒にそれを聞くのでした。
しかし、実際はピアノを弾いているのがセブで隣にいるのは違う男。2人の恋愛成就を成功とするのならバッドエンドですが、女優になりたかったミアの夢も、自分の店を持ちたかったセブの夢も叶っています。つまり、“夢追い人”としての2人は、それぞれ違う道で幸せになれたのではないでしょうか。ミアが成功するためには、セブは自分の店を諦める必要があったし、セブが成功するためにはミアはパリに行けなかったのです。セブが2人存在しないと成り立たない回想の最後は矛盾していますが、これこそが恋愛成就と夢の成功を両立するのは不可能だったことを表しているのだと考えました。
ではこれ、どちらの視点の回想なのでしょうか?私は、ミアの視点だと思います。カット的にミアの表情が映されているのも理由の1つですが、ここまで彼女だけは夢を優先し続けてきているのが大きな理由になるのではないでしょうか。
というのも、セブが途中でバンドのツアーがあるボイシに来ないかと誘った時、ミアは断っていました。セブとしては店を出す夢よりも、もしかしたらもっと身近な幸せ(=ミアと暮らすこと)に揺らいだのだと思います。結局その価値観の違いが引き金となるわけですが、その後も彼女はセブとの関係のために夢を諦めることはしませんでした。オーディションが終わった後ですら、「ずっと愛してるわ」と、別れを見据えた発言をしていましたよね。そんな(ほぼ)ブレないミアなので、別れてからの5年間も真っ直ぐに夢に向かってきたのでしょう。しかし、ふと目の前に元恋人が現れて、彼も念願だった夢を叶えていたら…。かっこよくも見えますし、ともに戦ってきた仲間的な感覚であの頃を懐かしく思ったりするかもしれません。そういう言葉にしづらい感情こそがあの回想で、どちらの未来が幸せだったかとか、一緒になれなかったから悲しいとかではなく、もっと複雑な思いを秘めているように見えました。そして、お互いにとって大切な存在だっただけにミアが家族持ちとなった今、再会したからといって2人が今後仲良くなるとは考えづらいですよね。そうなると、あのシーンは2人が最後に出会う瞬間でもあり、それぞれがまた別の道でスタートを切るための出発点でもあったのではないでしょうか。そう思うと、やはりこの物語はハッピーエンドであると同時に、夢を追う全ての人への応援歌であるように思ってしまうのです。
ストーリーの感想と考察
カラフルな衣装や美しいロサンゼルスの景色など、画面全体の色彩にもこだわった作りは見ていて飽きることなく、つい大きな画面で見たくなってしまいます。おうち映画をする機会が多くなった昨今にちょうどいいですよね。ミュージカルブロックの多幸感は、どんな時に見てもワクワクします。
また、出来事が四季ごとに描かれているので、映っていない間の2人の物語を想像するのも個人的な楽しみ方の一つ。一見ラブストーリーのように見えますが、決して恋だけが全てじゃないと思わせてくれる展開には好感が持てます。「ラ・ラ・ランド」というのは夢を追う人々が集まるハリウッドを指す言葉なのだそうで、“現実離れ”なんて意味もあるそうです。下手したらマイナスな意味として捉えてしまいそうなこのワードですが、本作が高く評価されていることを考えると、夢を追うことが認められたようにも思えて何だかうれしいです。ミアやセブの生き様を見ていると“夢を追って何が悪い!”とすら思わせてくれる説得力がありました。背中を押された人も多いのではないでしょうか。旅行ができるようになった頃には、ぜひロケ地をまわってみたいですね。
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