2016年に公開された映画『君の名は。』は新海誠が監督・脚本を務め、大きな話題となりましたね。東宝が配給し、全国約300館、世界歴代興行収入では、興行収入は250.3億となり日本映画で『千と千尋』に次ぐ2位となりました。
そんな大ヒット映画「君」は伏線や各場面に重要な台詞が散りばめられています。物語の謎を握る主人公三葉のおばあちゃん(一葉)、今回は彼女について紹介していこうと思います。
声優は市原悦子さんです。存在感がとてもあり、素晴らしい演技でしたね。物語のキーマンである彼女の役にぴったりですね。
「入れ替わり能力」と宮水家の関係
『君の名は。』でメインに描かれている「入れ替わり」という不思議な出来事はどうして起きたのでしょうか。実は物語の中で三葉のおばあちゃん(一葉)が重要な台詞を数多く言っているのです。彼女の台詞と、物語の謎を説明していきたいと思います。
主人公である宮水三葉は岐阜県飛騨地方の山奥にある糸守町に住む女子高生です。宮水神社の巫女を務めています。
実は「入れ替わり」は、代々宮水家の人々に継承されていました。
宮水神社は倭文神建葉槌命(しとりのかみたけはづちのみこと)を「糸守の神」として祀っています。
「入れ替わり」の能力は「糸守の神」が隕石から糸守町を守るために宮水家の人々に与えた能力でした。
糸守町に彗星が落ちたのは物語の前に2度あります。三葉の時代で3度目です。
1200年に1度の周期で彗星はやってきます。1度目は御神体にあるクレーター、そして2度目は隕石で糸守湖が作られています。三度目は止めることが出来ましたが、映画の中で1度、糸守町に直撃しており500人以上死亡しています。これが3度目の彗星落下になります。
この彗星落下を防ぐために与えられたのが宮水家の人々の能力です。
「入れ替わり」を行うことで数年先を生きる人間と交信をして、1200年ごとに訪れるティアマト彗星による厄災を回避することが宮水家の人々の真の存在意義だったのではないかと、映画の中で瀧は推察しています。
一葉の台詞と物語の謎
宮水家の「入れ替わり」能力について、一葉が映画の中で何度も言っています。上記で説明しました「入れ替わり」能力と一葉の台詞を関連付けてさらに説明していきたいと思います。
「土地の氏神様をな、古い言葉でむすびって呼ぶんやさ。この言葉には深ーい意味がある。糸を繋げることもむすび、人を繋げることもむすび、時間が流れることもむすび。全部神様の力や」
瀧が三葉と入れ替わっている時、妹の二葉とおばあちゃんの一葉と共に山の御神体へと出掛けた時の台詞です。
宮水神社の巫女たちは組紐を手作りしています。三葉も黒髪をえんじ色の組紐で結んでいますね。この紐が後に重要な意味を持つことになると、この台詞で示唆しています。
そしてこうとも言っています。
「わしらのつくる組紐もせやから、神様の技。時間の流れそのものを表しとる。縒り集まってかたちを作り、捻れて、絡まって、時には戻って、途切れて、また繋がり…それがむすび。それが時間」
前述の台詞と同じ組紐についてです。
組紐とは時間の流れそのもの、つまりこの世界では組紐に「時間の流れを表す神具」としての意味が込められています。
三葉は彗星が落下する前日の瀧(三葉のいる時間軸より3年前)に組紐を渡しています。
糸を繋げることもむすび、人を繋げることもむすび、時間が流れることもむすび。
組紐は同じ時を生きていなかった瀧と三葉のつながりを象徴する道具です。
「水でも米でも酒でも、人の身体に入ったもんが、魂と結びつくこともまたむすび。だから今日のご奉納は、神様と人間を繋ぐための大切なしきたりなんやよ。ここから先は隠り世(かくりよ)…あの世のことやわ。戻るには、あんたらのいっとう大切なもんを引き換えにせにゃあかんよ…口噛み酒やさ」
「人の身体に入ったもん」は「口噛み酒」のことですね。人の身体に入り、魂と結びつく。
ここで3年後に瀧が飲んだ三葉の口噛み酒には三葉の魂が入っていることがわかります。三葉は彗星の落下により亡くなりましたが、肉体は死んでも魂は口噛み酒の中に残っていました。
そして山の頂上のクレーター跡をあの世と言っています。
瀧と三葉、2人の魂は「誰そ彼時」に山頂(あの世)で入れ替わることができました。
人と時間を繋ぐ組紐、三葉の魂が揃い、瀧は亡くなる前の三葉とまたつながることができたわけです。
「わしも少女の頃、不思議な夢を見とった覚えがある。夢で誰になっとんたんか、今では記憶はもう消えてまった。大事にしないよ。夢は目覚めればいつか消える。わしにも、あんたのかあさんにも、そんな時期があったで」
ここの台詞で、まさかの一葉や二葉も「入れ替わり」を経験していたことが発覚しました。
「入れ替わり」能力は宮水家の女性に受け継がれていることがわかります。
実は小説のアナザーサイドストーリーにて、二葉と俊樹が過去に入れ替わっていたことが書かれています。
劇中で三葉と町役場で対面するとき、俊樹は三葉の表情からなにかに気が付いた顔をします。これは自分に「入れ替わり」の経験があったからこその反応だったんですね。一葉も過去に入れ替わったことがあったので、瀧の「入れ替わり」に気が付きました。
「入れ替わり」の結末
瀧は現代(隕石が落下して三葉が死んだ世界)から三葉の魂を拾って過去(まだ隕石が落下していない世界)の三葉に届けるという役目を果たしました。
そして数年経った2021年の東京。
8年前、奇しくも糸守町の住民は避難訓練をしており、隕石が落下したのにも関わらず死者はほとんど出ませんでした。瀧の作戦が成功したことが伺えます。
糸守町へのティアマト彗星の隕石衝突から、8年経っています。瀧は就活をする毎日を送り、三葉とその友人たちは東京で暮らしていました。
瀧の記憶には三葉との入れ替わりの経験はすべて失われており、それでも、名前も顔もわからない「誰か」をいつも探していました。それが何なのか誰なのかは分からないけれど喪失感を抱えながら時は流れていったのです。
三葉も同じく記憶を失っています。そして「誰か」を三葉も探しているのです。
どうして2人は記憶を失っているのでしょうか。
糸守町を厄災から救うことが出来て「入れ替わり」の必要性がなくなったからだと考えられます。
「入れ替わり」能力は彗星による隕石の落下から糸守町を救うことにあります。宮水神社の神様によって代々宮水家の人々に継承されていた能力です。
その必要がなくなったので「入れ替わり」に関係する出来事の記憶がなくなってしまったのではないでしょうか。
「入れ替わり」のことを一葉は「夢」のようだと形容しています。瀧と三葉も眠った際に入れ替わっていたので、最初は「奇妙な夢」だと思っていましたね。この「入れ替わり」能力は夢の記憶だから忘れていってしまったのではないか、ということです。
2人はお互いを「好き」だという気持ち以外をすっかり忘れてしまいました。切ないですよね。
けれどラストで2人はお互いを見つけて感動的なハッピーエンドを迎えます。
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映画『君の名は。』あらすじをあらためて
主人公の一人である立花 瀧(たちばな たき)は、東京の四ツ谷に暮らす男子高校生です。彼はある朝目を覚ますと、もう一人の主人公である宮水 三葉(みやみず みつは)と入れ替わっていました。
2人ともお互いをよく知らず、戸惑いながらも一日過ごすことになります。
その後数度「入れ替わり」が起き、2人は周囲の状況・反応から「奇妙な夢」ではなく現実での出来事なのだと確信します。
都会である東京で暮らす瀧、そして岐阜県飛騨地方の山奥にある糸守町で暮らす三葉。性別も違い、環境も全てが異なる2人の入れ替わりは波乱万丈で困難もあったが、その中で2人は次第に打ち解けていきます。
しかし、その入れ替わり生活は突然終わってしまいます。三葉と連絡が取れなくなってしまったのです。
瀧は三葉を心配して、三葉の暮らす土地・飛段を目指す。瀧の友人である藤井 司(ふじい つかさ)とバイト先の先輩・奥寺 ミキ(おくでら ミキ)もついて行くことに。
けれども、やっとの思いで辿り着いた糸守町は3年前にティアマト彗星の破片が落ちて消滅してしまっていました。
町民は500人以上死亡していて、その中には共に過ごしていた三葉の家族や友人、そして三葉本人も含まれていました。瀧と三葉は同じ時間を生きていなかったのです。
もう一度三葉に会いたい、三葉を救いたいと願った瀧は宮水神社の御神体へ向かいます。以前、口噛み酒を奉納したことを思い出したからです。
三葉との入れ替わりが起こるように願いながら、瀧は3年前に奉納された三葉の口噛み酒を口にします。
そうして瀧は目を覚ますと、無事三年前の三葉の身体と入れ替わっていました。瀧は三葉の友人である勅使河原 克彦(てしがわら かつひこ)と名取 早耶香(なとり さやか)に協力してもらい、町民を糸守町から非難させる計画を画策しはじめました。
その計画とは発電所を爆破し、町内放送をジャックして町民に避難を呼びかけるという無茶なものでした。しかしみんなを避難させて彗星の脅威から救うにはそれしかありません。
克彦と早耶香は三葉(中身は瀧)の言葉を信じ、3人は必死で行動します。
その計画の要である糸守の町長である三葉の父・俊樹(としき)を説得しようとしますが、妄言だと一蹴されてしまいます。
町民の避難は進みません。そこで瀧は、俊樹の娘である三葉ならば彼を説得できると思います。
瀧は三葉に会うために、御神体(口噛み酒)がある山を登ります。
その途中で瀧は三葉の自分に対する想いに気が付きます。
一方、三葉も瀧の姿で山頂で目を覚まし、外輪山に上り彗星の落ちた未来の糸守町を見て言葉を失っていました。
御神体のところへ辿り着いた瀧は三葉の名前を叫びながら外輪山を走る。2人の間には3年の時間の壁があるため、声は聞こえても姿は見えません。
けれども、黄昏(誰そ彼時)が訪れるとお互いの姿を見ることができ、入れ替わりが元に戻ります。こうして2人は初めて元の姿で直接会話することができたのです。
黄昏時は終わってしまい、2人はまた元いた世界へと戻り、引き離されてしまいました。
けれども三葉の身体の中には「隕石が落下する未来を知っている三葉」が入っています。三葉は瀧の立てた計画を引き継いで、父親の元へ急ぎます。
再び町役場へと辿り着き、父親と真っすぐ視線を合わせて歩いていく三葉に、俊樹はなにかに気が付いたような顔をします。
ティアマト彗星の破片が糸守町に向かって落ちるまで時間はありません。
宮水家プロフィール
・宮水 俊樹(みやみず としき)
三葉と四葉の父。婿養子。宮水神社に婿入りして神職に就いたが、二葉を失くしてから一葉と対立する。糸守町の町長でもある。
・宮水 二葉(みやみず ふたば)
三葉と四葉の母。瀧が見た三葉の回想シーンのみの登場で、映画の中では既に故人となっている。病死。
・宮水 三葉
主人公。女子高生であり、妹の四葉とともに宮水神社の巫女を務めている。
もう一人の主人公・瀧と入れ替わる。おばあちゃんの一葉と小学生の妹・四葉の3人で暮らす。
おばあちゃんとの確執から家を出ていった父親に対して、複雑な感情を持つ。田舎での生活、神社、父親について嫌気がさしていて、華やかな都会(東京)に憧れている。
瀧と入れ替わった際、入浴や瀧が勝手に身体を触ることを禁止している。
・宮水 四葉(みやみず よつは)
三葉の妹。しっかり者で、小学四年生の9歳。瀧と入れ替わった普段と違う様子の三葉に、毎度狼狽し、「やばい」「変」と引いている。母・二葉の死、そして父親との離別は、四葉が幼い頃に起こった出来事のためよく覚えていない。三葉と違い、父親に対して葛藤はない。
・宮水 一葉(みやみず ひとは)
三葉と四葉のおばあちゃんであり、二葉の母。三葉と四葉に宮水神社の歴史と伝統を教えている。
神職を棄てた俊樹のことを「バカ息子」と呼んでいる。俊樹とは仲が悪い。
さいごに
大ヒットした『君の名は。』は一度では観足りないくらい面白いです。美麗な映像や音楽は勿論、伏線が散りばめられていて、どういうことなのか考えながら見るのも楽しいですよ。小説もアナザーストーリーなど見どころがいっぱいです。是非、映画と小説を合わせて楽しんでください!!
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