「映像化不可能」と言われた、乾くるみによるベストセラー小説『イニシエーション・ラブ』を実写化!映画のあらすじとネタバレをご紹介します!
本作の内容は恋愛小説ですが、ラストで衝撃のどんでん返しがあり、全くべつの物語になってしまうのでミステリー小説とも言われています。
原作とはまた違った、映画ならではの衝撃のラスト5分を、是非楽しんで頂きたいです。
目次
映画「イニシエーション・ラブ」あらすじ
舞台は1980年代後半の旧静岡市と東京で、大学生の鈴木夕樹(松田翔太)は大学の友人から人数合わせで誘われた合コンでマユ(前田敦子)と出会い、恋に落ちます。
鈴木は小太りで服装に気を遣っておらず、所謂オタク臭い青年でしたが、その実直で誠実な性格をマユは気に入り、二人は付き合うことになります。
鈴木が就職で東京へ行くことになり二人は遠距離になってしまいます。
けれどマユへの愛のために毎週会いに行くと約束し、経済的にも肉体的にも疲弊していく鈴木は、次第に会社の同僚・石丸美弥子(木村文乃)と意気投合していきます。
鈴木はマユとの愛を貫けるのか、それとも美弥子を選んでしまうのでしょうか。
詳しいネタバレと、伏線について紹介していきます。
Melody of Movieの評価
76点
■各レビューサイト参考
映画.com:3.3
Yahoo!映画:3.39
Filmarks:3.3
みんなのシネマレビュー:3.12
※みんなのシネマレビューは10段階→5段階評価に換算しています
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Side-A
鈴木夕樹は静岡大学理学部数学科の4年生です。友人から頼まれた代役で参加した合コンで成岡繭子こと「マユ」と出会います。
居酒屋の個室で待つ鈴木たち。後から女性側のメンバーが入って来ましたが、その瞬間、鈴木にはマユだけが輝いて見えました。
女性に奥手だった鈴木はマユとろくに会話もできませんでしたが、その後同じメンバーと海水浴へ行った際に連絡先を交換することに。その二週間後に鈴木は勇気を出してマユに電話することができ、そこから二人の距離は縮まります。
二人は読書が好きだったので本の貸し借りをしたり、デートを重ねて親しくなっていきます。
最初は服装に気を遣っていなかった鈴木は、マユのために服を買い、美容室にも行き、眼鏡からコンタクトに変え、車の免許まで取ろうとしたり、努力して変わっていきます。
「マユちゃん」「たっくん」と呼び合っていた二人は、まだ周囲に二人の関係を隠していました。ちなみに「たっくん」は、夕樹の「夕」がカタカナの「タ」に見えるからとマユが考えたニックネームです。
ある日合コンのメンバーでテニスをすることになったのですが、そこで友人の北原と親し気にするマユを見て嫉妬してしまった鈴木は家に帰ってからも悶々とします。
けれどマユから電話がかかってきて、鈴木がマユの友人の和美と親し気にしていたとにマユも嫉妬していたと聞かされます。
マユからの好意を確信した鈴木は、正直に「会いたい」と伝えてマユの家へ向かいます。
その晩、ついに二人は結ばれます。
交際するようになった二人は愛を深めていき、11月にドライブデートをした後に入ったラブホテルで、鈴木はマユからクリスマス・イブの予定を訊かれます。
二人はイブの予定を立てて、鈴木はホテルに予約の電話をしてみます。すると運よくキャンセルがでたからとイブに予約をすることができました。
そしてクリスマス・イブ当日、二人はディナーを楽しみ、プレゼントを交換します。鈴木はマユにネックレスを。マユからは赤いスニーカーを貰います。
ディナーが終わってからも貰ったスニーカーを履いてみせたりと、鈴木は幸せな時間を過ごしていました。白いコートを着たマユも、幸せそうに笑っています。けれども、二人は通りすがりのカップルに「あのカップルつり合ってない」と心のない言葉を言われてしまいます。
マユは「格好良いよ」と言ってくれましたが、鈴木は容姿が格好良いに越したことはないと痩せることを決意します。
Side-B
場面は変わり、赤いスニーカーを履いた足がランニングをしています。ほっそりとした青年ですが、彼は鈴木です。
社会人になった鈴木は痩せて、赤いスポーツカーに乗り、服装もお洒落で堂々とした振舞いになっています。
東京への転勤を言い渡された鈴木はマユに打ち明けます。マユは「たっくんが認められたってことだよね」と言いつつも悲し気で、涙声になっています。
鈴木はマユに毎週会いに行くと約束しました。東京と静岡なんてすぐだと、マユを慰めます。
マユを愛していた鈴木は「マユのためならなんでもできる」とこの時は信じていました。
けれど東京で、同僚の石丸美弥子と知り合います。
その洗練された容姿に鈴木は目を奪われました。東京の女性のレベルの高さに驚きます。
美弥子は目を惹く美人で、しかも性格も良く、仕事もできる完璧な女性でした。考え方が大人な美弥子と、次第に鈴木は意気投合していきます。
マユのために静岡へ会いに行く鈴木は、マユの長い買い物に疲れた様子を見せています。仕事や、そして静岡まで会いに来るために運転をして、疲労しているのです。
マユを抱きしめ「早く静岡に帰りたい」と言う鈴木には余裕がないようでした。
場面は変わり、鈴木は美弥子の残業を手伝っています。朝までかかる量の仕事を抱える美弥子を見兼ねて申し出たのです。
やっと残業が終わり、鈴木は美弥子からご飯に誘われます。「最近疲れているみたいだから息抜きになればいいと思って」と言われて、やっぱり美弥子は大人だなと感じます。
それからマユに会えたのは三週間ぶりの土曜日でした。
マユは海に行ったようで、日焼けしています。翌日海に行くと約束するが、鈴木は運転の疲れで寝坊してしまいます。さらに渋滞に巻き込まれ、海は今度にしようと予定は中止になります。車の中で、マユに「生理がこない」と告げられます。
鈴木は動揺して、反応は芳しくありません。結局、結婚することを持ち出した鈴木ですが、マユに「妊娠したから結婚するということが嫌」と拒絶されます。鈴木は苛立った態度で、二人の空気は悪くなります。それから二人は電話で連絡を取り合うだけになっていきます。
そんな中、美弥子が鈴木に想いを打ち明けます。鈴木は動揺しましたが、自分は付き合いたいと思っていないと断ります。しかしその後も美弥子は何もなかったかのように振舞います。
マユと会っても気まずくなり、鈴木は静岡からの帰り道、美弥子のことを考えるようになっていました。
翌週末、マユは病院で妊娠3か月であると診断されます。
帰り道、途中で鈴木は公衆電話から「墜ろそう」とマユに提案し、マユは泣きます。
翌週、マユは堕胎手術を受けます。
ある日鈴木は美弥子と飲んでいる時に、彼女がいることを見破られます。
美弥子は元彼から「お前にとって俺は、イニシエーションだったんだ」子どもから大人になる通過儀礼だったのだと、そう言われたと告げます。
それをわかせてくれる恋愛が「イニシエーション・ラブ」、鈴木とマユの関係がそうであれば私にもまだチャンスはあると美弥子は言いました。その帰りに美弥子に誘われて、関係を持ってしまいます。
いつしかマユに会うのは隔週に変わり、他の休みは美弥子と過ごすようになります。いつしか鈴木はどちらが本命かわからなくなっていました。
そしてとうとう鈴木はマユを「美弥子」と呼んでしまい、浮気がバレてしまいます。動揺するマユに鈴木は逆ギレし、激昂します。
一年半も続いた恋愛があっけなく終わったと鈴木のモノローグが入ります。
鈴木は美弥子と付き合うようになり、マユの記憶は薄れていきます。
美弥子はクリスマスに鈴木を自分の家へ招き、親に紹介したいと告げます。鈴木はクリスマスにマユのために予約していたディナーをキャンセルし、クリスマスは美弥子と過ごすことに。
ある晩、鈴木は美弥子に電話をしなければと寝ぼけながら電話をかけます。コールが鳴り、すぐに相手は電話にでました。「もしもし成岡です。……たっくん?」鈴木は驚き、すぐに切ります。衝撃でした。あれから何か月も経つのに、あまりにも自然に自分だと当てられたからです。
クリスマス当日、鈴木は美弥子に両親を紹介され、美弥子の両親に大学の時に何を学んでいたのか質問されます。「物理です。流体力学を専攻していました」と言います。
食事を済ませると美弥子の部屋へ行きます。
美弥子と会話をしていても、鈴木の頭の中にはマユがいました。もしかしたらマユは別れたことに気づいていなくて、まだ自分のことを待っているんじゃないだろうか。今日もキャンセルしたホテルで自分のことを待っているんじゃないか、と。
鈴木は謝り、美弥子の制止を振り切って、静岡までマユに会いに行きます。
結末
鈴木は車を飛ばして、マユの元へ向かいます。場面は変わり、ホテルの階段を上がる女性の脚が映ります。
一方、美弥子の家では「鈴木君、突然帰ってしまったね」と美弥子の父が言います。名字で呼んだ父に「鈴木君なんてよそよそしいじゃない」と美弥子の母が言います。名前はなんだったか美弥子の父が尋ねました。
美弥子は教えます。「辰也。鈴木辰也くん」
鈴木はホテルに辿り着きました。急いでやって来た鈴木は息切れして、立ち尽くします。しかし走って探すと、すぐにマユの姿を見つけました。白いコートを着てマユは立っています。
マユの元へ駆け出した鈴木は、マユの元へ辿り着く前に小太りの男とぶつかり、倒れてしまいます。マユはその小太りの男の元へ走っていきます。
笑いながらマユは言いました。「なにしてるの、たっくん」
鈴木は茫然と、マユを見つめます。マユも辰也に気づきます。
「……たっくん?」
それを聞いた夕樹は驚いたように「たっくん?」と訊き返します。
立ち尽くす三人が映されて、ここで初めて時系列が紐解かれていきます。
散りばめられた伏線・種明かし
本作のラスト5分で判明する衝撃の結末。それはSide-Aの「たっくん」とSide-Bの「たっくん」は全くの別人だったということです。
マユのために夕樹が運動をして痩せて容姿が変わったのだと思わせる演出が見事です。
Side-Bに移った途端に鈴木の性格が変わってしまうことに違和感を覚えてしまいますが、それは鈴木が痩せて格好良くなり、自信がついたためと観てる側は思ってしまいます。この部分は原作の小説でも微妙に性格の変化を匂わせているのですが、映画ほどのあからさまな変化はありません。それでも騙されてしまう素晴らしい演出とミスリードなのです。
実はSide-Aの主人公・鈴木夕樹とマユが出会うよりも先に、鈴木辰也とマユは付き合っていました。
辰也がまだ大学生だった頃にマユとは合コンで知り合います。マユは辰也に赤いスニーカーをプレゼントします。のちに夕樹にプレゼントするスニーカーと同じものです。
まず辰也が就職し、東京へ行くことになってしまいます。マユは辰也からルビーの指輪をもらいます。東京で辰也は石丸美弥子と知り合います。
遠距離になり、マユは合コンで鈴木夕樹と出会います。この時話題にあがったマユのしてたルビーの指輪は辰也からもらったものです。
また、Side-Aでクリスマスに夕樹からネックレスをもらったマユは「ずっとつける」と言いましたが、side-Bではつけていません。夕樹と出会う前の話なので当たり前ですよね。
中でも本作で一番舌を巻いたのは、やはりマユが夕樹を「たっくん」と命名したことです。マユは夕樹との初デートで「たっくん」と間違えて呼びかけて「たっ……」と言葉を詰まらせています。その後「夕」がカタカナの「タ」に見えるからと理由を付けて「たっくん」と呼び方を統一することで、名前の言い間違いを防いでいます。
反対に、辰也は「美弥子」とマユを呼び間違えて浮気がバレています。マユの方が一歩上手だったのです。
他にも、辰也に「生理がきてない」と車の中で告げたときにマユはスカートにコーラを零して染みを作ってしまいます。Side-Aで夕樹と電話をしている時にその染みを落としている場面があります。
堕胎手術を受けたマユは、夕樹に「便秘で入院した」と嘘をついています。
Side-Bでマユが買っていたワンピースはSide-Aで初デートの時に着ていたワンピースと同じだったりと、数々の伏線が散りばめられています。
原作小説のマユは可愛らしくも、バッサリとしたショートカットで、少し男慣れしていそうな、清純そうではない印象を抱かせる子です。けれど映画では前田敦子が、いかにも女の子らしく可愛らしい、都会的な女の子ではなく、親しみやすいおっとりした雰囲気の子を演じています。まさか浮気をしているだなんて思えません。どちらかといえば東京へ行き、仕事のストレスやマユとの関係の変化により変貌した鈴木の方が、浮気しそうな雰囲気が目立っています。
「映像化不可能」と言われた傑作小説を、見事映像化しています。「あなたは必ず二回観る」というキャッチコピー通り、必ずもう一度観たくなるはずです。隠された伏線を見つけ出して、是非楽しんで謎を解いていただきたいです。
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